AAAタイトルの開発費が高騰し、日本の大手企業が『絶対に失敗できない安牌』を切り続ける横で、中韓のスタジオは『莫大な予算を突っ込んだ高級ナイフ』を嬉々としてブン回しています。
ゲーマーとしてはただ面白いものを追うだけですが、少し複雑な気分ですね。
最近、Steamの海を泳いでいてどうしても感じてしまうことがあります。
「日本のゲーム(特に大手メーカー)、もしかして海外の勢いに完全に取り残されようとしていないか?」という疑問です。
もちろん私はただのいちゲーマーであり、業界の内部事情に精通しているわけではありません。
あくまでPCゲーマーとしての肌感レベルの話ですが、同じようにモヤモヤしている人は結構多いのではないでしょうか。
『面白いゲーム』とは、「手堅い続編」か「未知の体験」か
ここ数年、新しい体験や度肝を抜くようなグラフィックで世界を驚かせているのは、中国か韓国のスタジオ発のタイトルばかりな気がします。
彼らは最新のゲームエンジンを使いこなし、新しいシステムやニッチな需要に対して莫大な予算を突っ込むという、異常なまでのフットワークの軽さを見せつけています。
ここで、彼らの強さを2つのルートに分けて整理しておきましょう。
1つ目は、莫大な国内市場とガチャマネーで基礎技術力を高め、それを一気に「買い切り大作」へと爆発させたルート。
世界を席巻した『黒神話:悟空』や『Stellar Blade』がその筆頭です。
2つ目は、ガチャゲーそのものにコンソール級の予算を突っ込み、狂気的なジャンルミックスを生み出すルート。
例えば『アークナイツ エンドフィールド』です。
「美少女×オープンワールド×自動化工場(ファクトリー)」という、一体どの層に向けて銃を向けているのか分からないニッチな属性全部乗せ。しかもクオリティが異常に高いときています。


一方で、日本の大手メーカーはどうでしょう。
大規模タイトルの開発は5年も7年もかかるのが当たり前になり、「絶対に失敗できない」というプレッシャーからか、手堅い続編や既存システムの延長線上のゲームが多くなっているように見えます。
なぜここまで差が開いたのか? 埋めがたい差
単に「日本の開発力が落ちた」と片付けるのは簡単ですが、ゲーマーの視点で解剖してみると、両者の間には明確な構造的要因があったことが見えてきます。
「ガチャマネー」の再投資先(リソース変換)の違い
日本も中韓も、莫大な利益を生んだのは「ガチャ」でした。
しかし、その利益の再投資のロジックが根本的に異なります。
日本が国内市場の圧倒的な利益に満足し、ガチャを上がり(ゴール)として既存IPの使い回しやTVCMに利益を流し込んだのに対し、中韓はガチャを「世界で覇権を握る次世代ゲームを作るための資金調達システム」として最適利用しました。
miHoYoが「2030年までに10億人が住む仮想世界を作る」と公言し、技術投資を続けているのがその最たる例です。
強すぎる「IPの呪縛」とシステムの硬直化
日本の大手が安牌を切り続ける最大の理由は、長年育てた「強力なIP」を背負っているからこそ、とも言えます。
先週(2026年5月27日)の「ドラゴンクエスト40周年」のお知らせには、正直ひどくがっかりしました。
『DQ12』の発表から何年も音沙汰がなく、節目の40周年だからこそ何かしらの進捗発表があるだろうと期待していたのに、「テーマを変えて開発し直してます」「これ以上は怒られるので今は何も言えません」とヘラヘラ濁す首脳陣の姿。
巨大すぎる看板が、開発のフットワークを重くしている典型例です。
一方、新規IPで勝負する中韓は「IPの力」ではなく「システムの面白さ」を信じているため、システムとシステムの掛け算に躊躇がないように見受けられます。
高品質リメイクのジレンマと「昔の遺産」の枯渇
誤解しないでほしいのですが、最近の日本のゲームが面白くないと言いたいわけではありません。
たとえば『ペルソナ3 リロード』や『ロマサガ2 リベンジオブザセブン』などのリメイク版なんかは最高に面白いですし、素直に嬉しいです。


でも、ふと冷静になって気づくのです。
これらのリメイク元って、かつての日本が得意としていた「ちょっと変なシステムの尖った中規模タイトル」じゃなかったか? と。
当時のクリエイターたちがリスクを取って「新しい種」を撒いてくれたからこそ、今の時代に最高のリメイクという「果実」を収穫できています。
しかし、このまま手堅いリメイクや続編ばかりに頼り、新しい種を撒くことをサボっていたら……。
10年後、20年後にリメイクする「果実」が尽きてしまうのではないか? と、勝手に危機感を覚えてしまうのです。
(そんな中で、中・小規模でゴリゴリに尖った神ゲーを連発してくれるヴァニラウェアみたいな存在は、本当に奇跡だと思います)


予算の暴力には屈しない、日本のインディーが放つ「猛毒」
では、日本のゲームから斬新なアイデアが完全に消えたのかというと、そうではありません。
面白い弾が撃ち出される主戦場が、Steamなどのインディーズ界隈へ移っただけなのです。
『溶鉄のマルフーシャ』の理不尽なディストピア感とハイテンポな防衛シューティングの融合。
『魔法少女ノ魔女裁判』に見る、特定の層の心に深くブチ刺さるダークで濃密なシナリオ。




中韓の市場が、大手の莫大な予算と最新技術を乗せて「高級ナイフ」を投げてくる時代。
それに真正面から予算と技術で殴り合っても、今の日本に勝ち目は薄いかもしれません。
しかし、日本には同人・ノベルゲーム文化が培ってきた異常なまでのフェティシズムや狂気的なナラティブがあります。
何十億円もかけて世界中で売らなきゃいけない最適化された大作には絶対に実装できない、毒を塗った暗器のような刺さり方。
予算の暴力では作れない業の深いゲームは、日本にしか作れないと信じています。
まだまだ日本のクリエイター界隈も捨てたものではない。
そう信じつつ、私は今日もSteamの海に潜り、まだ見ぬ猛毒の暗器を探しに行こうと思います。
業界の構造的欠陥を並べ立てたところで、結局は『業の深いゲームがやりたい』というゲーマーの身勝手な結論に行き着くわけですね。
それで良いと思います。私たちは消費者であり、批評家ではないのですから。









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