前置き:G600tへの未練
PCデスクの環境構築において、特定のデバイスに「魂を囚われてしまった」人たちがいます。
「Logicool G600t」の生産終了により、行くあてをなくした多ボタンマウス難民たちです。
何を隠そう、私もその一人でした。
他の「環境構築」記事を読まれている方がもしいらっしゃれば、「あれ、普段はトラックボール派じゃなかったっけ?」と思われるかもしれません。
その通りです。日々のブラウジングや事務作業は、今でもトラックボールを愛用しています。
でも、違うんです。
ショートカットを酷使するゴリゴリの資料作成、自動化ゲーやサバクラゲーとなると、話は別。
こればかりは「右手の親指にすべての操作を丸投げできる」G600tじゃないと、まったく話にならない体になっていました。
ゆえに、G600tが市場から消えたときは、本当に右手の使い方を忘れたかのような喪失感でした。
地方の家電量販店を回り、なんとかストックを確保。
そして現在、そのストックも遂に底をつきました。
今使っているこれが壊れたら……?
「ほんとはG600tがいい。でも、いつまでもこれに頼るわけにはいかない……」
そんな未練を無理やり引きはがすようにして、半ばヤケクソ状態で手を出したのが「CORSAIR SCIMITAR RGB ELITE(以下、SCIMITAR)」でした。
ただし、彼女はG600tの完全な身代わりにはなりません。
しかし、行き場をなくした私の右手に「新しい実家」を提供してくれました。
今回は、そんなG600tへの未練を断ち切った軌跡を紹介します。
G600tの「薬指クリック」がない絶望をどう乗り越えるか
G600t難民が他のマウスに移る際、最も高いハードルとなるのが、薬指の「Gシフト」の有無です。
言うまでもなく、このSCIMITARにもそんなものはありません。
始めのころは、「やっぱりダメだ、ボタンが全然足りない」と頭を抱えました。
薬指が寂しく、何故だか切なさが襲ってきます。
ただ、人間のPC環境への執念というのは大したものです。
キーボードのShiftやCtrlを組み合わせるマクロ設定を渋々見直していくうちに、手が新しい操作を覚え始めました。
あれほど絶対だと思っていた薬指クリックなしの環境も、1週間も経つ頃には「まあ、これでもいけるな」と、意外なほどあっさり馴染んでしまいました。
最初の3日間ほどは『薬指が空を切る!使いにくい!』と大騒ぎしていましたが、4日目にはすっかり無言で作業していましたね。
あの未練、実はただの『新しいものへの警戒心』だったのでは?
失った恋人を忘れるには、新しい相棒と過ごす時間が必要だっただけです。
最大の強み:サイドボタンの位置、動きます
薬指クリックの欠如というマイナスを、帳消しにしてくれた魅力。
それが、「12個のサイドボタンの位置を、前後にスライドできる」という、ちょっと変態的なギミック。
多ボタンマウスの宿命として、「奥のボタンに親指が届かない」とか「手前すぎて親指を思い切り曲げないと押せない」といったサイズ問題が必ずついて回ります。
G600tのときも、実は「ちょっと手前押しづらいな」と思っていました。
しかしSCIMITARは、付属のレンチでネジを緩め、ボタンの塊ごと「自分の親指が一番ラクな位置」へ移動させることができます。
この自分専用に仕立てたフィット感は感動モノです。
親指が全くストレッチをする必要がなく、こればかりはG600tの上を行く快適さです。
交互のテクスチャ加工
12個もボタンが密集していると、手元が忙しいときに「今、親指がどこにいるのか」を見失って誤爆することがあります。
SCIMITARは、縦の列ごとに「ツルツル」と「ザラザラ」の加工が交互に施されています。
これが意外といい仕事をします。
画面から目を一切離さなくても、親指の腹が感じる「あ、いまザラザラに触れてるから2列目だな」という触感だけで、瞬時に位置がわかります。
G600tはお椀型の傾斜で誤爆を防いでいましたが、この「触感で区別させる」というアプローチは、より直感的で理にかなっていると感じます。
制御ソフト:「iCUE」と和解せよ
ポリシーとして、ここだけは正直に書いておきます。
CORSAIRの制御ソフトである「iCUE」は、Logicoolの「G Hub」に比べると、最初はちょっととっつきにくいです。
マクロの割り当て画面を開いた瞬間、一瞬迷子になりました。
UIが少し玄人向けというか、直感性に欠ける印象です。
ただ、これも少しイジっていれば「あ、こういうロジックね」と頭が追いつきます。
最初のちょっとしたハードルさえ超えれば、あとは快適そのものです。
『使いにくい!』と文句を言いながら、嬉々として全ボタンにショートカットを割り当てていた管理人の背中、嫌いじゃなかったですよ。
また、「G Hub」は「G Hub」自体が不安定という問題がありました。
たまに制御ソフトが起動しないときがあるという、制御ソフトとしてあってはならない現象が頻発していました。
一方で、「iCUE」については、現状そのような不具合には遭遇しておらず、安定しています。
総評:過去を引きずるより、最適化された現在を。
G600tは間違いなく名機でした。
ですが、いつまでも「生産終了」を嘆いて、プレミア価格の中古に怯えながら過ごすのも疲れてしまいます。
そしてSCIMITARは、決してG600tの劣化コピーではありませんでした。
スライド機能による圧倒的なフィット感と、指先でわかるボタン加工は、「新しい多ボタンマウスの完成形」として、十分に私のデスクの主役を張れる存在です。
もしあなたが今も、「G600tの寿命が尽きたらどうしよう」と怯えながら毎日クリックしているなら。
あるいは、多ボタンデビューで、右手にすべての作業を集約する快感を味わってみたいなら。
是非この「CORSAIR SCIMITAR RGB ELITE」を握ってみてください。
「あれ、意外とこっちの方が手に馴染んでるかも……?」





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