【界の軌跡】戦闘は神、シナリオは虚無。『黎Ⅱ』で絶望したファンがSteam版で見た「終わらない悪夢」

界の軌跡 サムネ

ついにSteam版が解禁された『英雄伝説 界の軌跡 -Farewell, O Zemuria-』

正直に白状しますと、私は本作のCS版(PS5版)をスルーしました。
過去作は全クリア済みの重度の軌跡オタクであるにも関わらず、です。

理由はシンプルで、前作『黎の軌跡Ⅱ』があまりにもアレだったから。

「謎技術ループ」「無意味な同士討ち」、そして「1リジュも進まない本筋」。
あの時に味わった虚無感で、信仰心がポッキリ折れていたんです。

けれど、いざSteam版が出ると聞いて「PCの最高設定で遊べるなら……」と、結局のこのことゼムリア大陸に戻ってきてしまいました。悲しい性(さが)です。

「戦闘とモーションは間違いなくシリーズ最高傑作。でも、シナリオは『黎Ⅱ』の悪夢をまだ引きずっている」。
クリア後の感想をひとことで言えば、これに尽きます。

古参ファンとして、愛と憎しみをありのままに書き殴ります。

ロジカちゃん

『Farewell(さようなら)』というサブタイトルを見て、ついに共和国編が完結すると思いましたか?
……甘いですね。ファルコムの時間感覚は我々とは違うようです。


目次

立ち位置への期待と、裏切られた結末

本作の立ち位置は、帝国編でいう『創(はじまり)の軌跡』に近いものでした。
タイトルこそ変わりましたが、実質的には『黎の軌跡Ⅲ』。共和国編の総決算がついに見られると期待していました。

だって、前作のエンドロールで「Next Final Chapter」って出ましたよね?
あれを信じて、今回こそは広げすぎた風呂敷を畳んでくれるはずだと祈るような気持ちでプレイしました。

まさかの「ぶった切り」エンド

またしてもクリフハンガー(ぶった切りエンド)でした。

な ん で だ よ

確かに重要な情報は出ました。世界の謎に迫るキーワードも提示されました。
ですが、”物語としての区切り“は完全に放棄されています。
『創』のように綺麗にまとまることを期待していると、本当に痛い目を見ます。

界の軌跡 結社
本筋に関わる重要なワードは複数登場。

戦闘システムは「シリーズ最高到達点」

ここまで酷評しましたが、戦闘システム周りについてはです。
アクションとコマンドの融合はついに完成形に達し、コマンドの戦略性も極めて高い仕上がりになっていると感じました。

進化したブーストシステム

『閃Ⅲ・Ⅳ』のブレイブオーダーに近い「シャードコマンド」や、ブーストの仕様変更により、戦闘の爽快感が跳ね上がりました。
SブーストLv1でシャードスキルが100%発動になり、Lv2で「2連続行動(Z.O.C.)」が可能になる。
『閃Ⅲ』を思い出す、「敵にターンを回さずずっと俺のターン」も再現可能です。
このシステムが噛み合った時の爆発力は、過去作の中でも随一でしょう。

カスタマイズの沼

サブウェポンのパーツが増え、オーブメント弄りも深みが増しました。
最強のビルドを考えている時間だけで時間が溶ける、ゲーマーとして至福の時です。

界の軌跡 シズナ
モーション(表情・メリハリ・魅せ方)も進化。

初心者お断り。情報量とUIの壁

しかし、この最高の戦闘を楽しむには、高いハードルを越える必要があります。

チュートリアルで「初見バイバイ」

前述したブースト仕様、新要素の「覚醒」「B.L.T.Z.」、さらに従来の「アーツ」「クラフト」「S.C.L.M.」……。
これら全ての仕様説明が、最初のダンジョンで一気に浴びせられます。

シリーズ経験者の私ですら「ちょっと待って一気に言うな」と脳がパンクしかけました。
もしこれが軌跡デビュー作だとしたら、間違いなく最初の1時間でアンインストール案件です。

多すぎるキャラと管理地獄

さらに追い打ちをかけるのがキャラ管理。
3ルートが切り替わるたび、加入・離脱が発生するたびに、複雑化した装備やクオーツを付け替える作業が発生します。
「自動装備」もありますが、最適化を好むゲーマーほど自分で組みたいもの。
システムは面白いのに、UIと仕様が快適さを殺している、非常にもったいない状態です。

界の軌跡 オーブメント
最初は楽しい。だんだんと「またあの作業をやるのか…」と感じるように。
高難易度について

1周目からハードでプレイしましたが、敵のHPが異様に高いだけの「スポンジ」状態でした。
アクション性が増したとはいえ、基本は数値の殴り合い。
敵がただ硬いだけなのを「高難易度」と呼ぶのは、そろそろ卒業してほしいところです。


シナリオの虚無感とキャラの浪費

さて、問題のシナリオです。
本作は『創』同様、3ルート制を採用しています。『創』ではこれが物語に厚みを生んでいましたが、今回は正直、機能していません。

まず、ザッピングシステムの醍醐味である「Aルートの行動がBルートの道を切り開く」といった連動性が皆無です。
それどころか、全ルートのキャラが集合可能な、時空間を無視した「黒の庭城」という都合のいい空間があるのに、そこでは「あえて」重要な情報交換をしないという謎の縛りプレイが発生します。世界が危機なのに、なぜ報連相をしないのか。

界の軌跡
うーん。

そして、キャラクターの無駄遣い。
過去作の重要キャラが大勢登場しますが、その多くが”ファンサービス”止まり。
例えば《破戒》のあの人。「今回の計画には絡んでないけど、暇だし来ちゃった」みたいなノリで登場し、核心を匂わせはするものの、ただ居るだけ。(そういう性格のキャラではあるけど。)
魅力的なキャラを舞台装置として浪費しているようにしか見えません。

界の軌跡 ハーウッド 結社 使徒
このオジサンのこと好きだから、雑に使うのはやめてほしい。

繰り返される「いつもの」展開とテキスト

各チャプターの構成も、判で押したように同じです。

街の探索(お使い)→無駄に長いダンジョン→ボス戦。

特にボス戦後の「勝ったのになぜかこちらしか息が上がってない」「敵は満足して帰っていく」という黄金パターンは、もはや伝統芸能。
常に「これ、何を見せられているんだ?」という虚無感が付きまといます。

テキスト面でも、ライターの手癖が限界に来ている印象です。

今回の流行語大賞は「胡乱(うろん)」
登場回数は「ハッ」「ハン」に遠く及びませんが、登場時のインパクトが極大だったためノミネート。

そして相変わらずの「匂わせ」。
キャラ達は真相を察しているのに、プレイヤーには教えない。
公式に明かされた時には「まあ知ってたけどね」感を出す。

ロジカちゃん

情報リテラシーが高すぎる登場人物たちは、すべてを察しています。
置いてけぼりなのは、画面の前のプレイヤーだけです。

界の軌跡 セリフ
さすがに笑ってしまった。ハン。

まとめ:それでも「軌跡」を辞められない人へ

『界の軌跡』は、「極上の戦闘システム」と「停滞するメインシナリオ」が同居する、”いびつ”な作品です。

唯一の救いは「コネクトイベント(キャラ個別のサブストーリー)」でした。
キャラの魅力を描くのは上手いのに、それを本編で活かせず、人数だけ増やして散漫になっている。
それが現在の軌跡シリーズが抱える病理でしょう。

買うべきか?

  • シリーズファン:
    買うしかありません。
    悔しいですが、世界の核心に触れる情報は出てきます。人質を取られているようなものです。
  • 新規勢:
    お帰りください。
    『黎の軌跡Ⅰ』だけやって綺麗な思い出のまま終わるのが一番幸せかもしれません。

前作のエンドロールにあった「Next Final Chapter」という言葉。
それを信じて本作を手に取りましたが、結果はまたしてもぶった切りでした。

文句を言いながらも、今回の「Final Chapter(本当か?)」を信じてまた買ってしまうでしょう。
それが、軌跡オタクが背負った「悪夢(ナイトメア)」なのですから。

ロジカちゃん

『次こそは終わる』。
その言葉を信じるのは、これで何度目でしょうか。
もはや我々も『無限のループ』に取り込まれているのかもしれませんね。


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